梅乃瀬窯の作り手より

愛媛の窯元から、食卓になじむうつわを。

愛媛・砥部焼の代名詞は、白磁に呉須(藍色)の絵付け。梅乃瀬窯ではこの伝統に新たな手法を加えながら、料理が映えるシンプルなうつわ作りをしています。梅乃瀬窯特有のやわらかな青白磁は、ナラの天然灰を使って独自開発した釉薬がもたらすもの。素焼きした陶石を釉薬に加えることで、強すぎずマイルドな色味へと昇華します。さらに釘やカンナで溝を掘り、顔料を埋め込む技法「呉須象嵌(ごすぞうがん)」により、溝にたまった釉薬が立体的な滑らかさをプラス。シンプルながらも表情豊かな梅乃瀬窯のうつわは、和食・洋食・中華…どんな料理ともなじむ、食卓の頼もしい存在です。

作り手の想い

いつも「梅乃瀬窯」をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

私たちが携わる伝統工芸品の生産額は、残念ながら減少の一途を辿り、現在はピーク時の5分の1(約1,020億円)にまで落ち込んでいます。

その要因は、需要の低迷や後継者不足による廃業、資源の枯渇、材料・道具の調達困難などさまざまです。また現代では、日常的に伝統工芸に触れる機会も少なくなっており、関心を持ちにくいことが伝統産業衰退の要因のひとつだと感じています。

生産者の立場からすれば、伝統工芸の産地が衰退し、文化や伝統がひとつまたひとつと廃れ、多様性が失われるのは悲しいことです。 しかし、使う側の立場からすると「伝統工芸品は今のライフスタイルに合わない」「モノがいいのは分かるけど値段が高い」と感じる気持ちもよく分かります。
必要とされないモノは売れず、廃れて淘汰されていく……。
私たち作り手はそれを受け止め、お客様が求めているものを常に考え、日々進化していかなければなりません。それは伝統工芸品を作っている小さな工房であろうが、最新鋭のITメーカーであろうが全く同じことです。

私たちは、手仕事というのは本当に素晴らしいものだと思っています。
殺伐とした現代社会にあってこそ、人の心をより豊かにしてくれると信じています。

梅乃瀬窯は砥部焼のうつわを通して、食卓に「温かさ」を提供したいのです。
ひとりでも多くの方に、豊かな暮らしをお届けすることができたなら、私たちはこれほど嬉しいことはありません。

梅乃瀬窯 作家プロフィール

佐賀 道彦

Michihiko Saga(1957〜2006)


愛媛県立松山南高等学校デザイン科を卒業後、4年間で板前、葬儀屋など15の職を転々とする。
22歳の時に神郷窯の塩見正春氏に師事し、約9年間の修行を経て独立。
砥部町川登にあった廃屋を譲り受け、自分で少しずつ手を入れ住宅兼工房に改築。
1985年、梅乃瀬窯を開窯する。
砥部町川登梅乃瀬地区(旧工房付近) 6件程の小さな集落「梅乃瀬」という地名を窯名に建物の老朽化と、家族が増え手狭になったのを機に1996年、実家のある伊予郡松前町に移転開窯する。
新しい工房でも精力的に仕事をこなしていたが、2006年7月、趣味だった自転車のトレーニング出かけたまま交通事故に遭い、帰らぬ人となる。

【作品】「心象」オブジェ

「コレはナニ?」と思われるかもしれない。この作品は06年に49歳で亡くなった砥部焼作家佐賀道彦氏が、04年に開催された当館企画展、「砥部焼の現在」に向け作成した作品で、「心臓」がモチーフとなっている。作者自身がペースメーカーを装着していたということもあり、大胆な作風ながらも臓器の構造に忠実に作られている。(向かって右奥にペースメーカーがある)また、じっと見ているとタイトル通りどっしりとした「象」の姿が重なり、作者のユーモアと陶芸家としての力量がうかがえる作品である。当館にて追悼ロビー展を開催した後、ご遺族により寄贈された。<砥部焼伝統産業会館より引用>
梅乃瀬窯の工房にも、非売品ですが作品を展示しております。

佐賀 しげみ

Shigemi Saga


・愛媛陶芸協会会員
・一級陶磁器製造技能士(絵付け)
〔主な担当業務〕 絵付け、タタラ成形

鬼北町出身
大阪デザイナー学院を卒業後、広告代理店でグラフィックデザインを7年間担当したのち結婚を機に陶芸の世界に入る。
2013年から、砥部焼を応援する女流作家グループ「とべりて」のメンバーの1人として活動する。現在は梅乃瀬窯の代表も務め、商品開発や営業活動なども積極的にこなす。

【賞歴】
愛媛の陶芸展
◆優秀賞2回 ◆奨励賞2回 ◆くつろぎの器賞1回

砥部焼まつり新作展
◆優秀デザイン賞2回 ◆優秀賞1回

砥部町永年保存作品に3作品が認定される。

中矢 匡威

Masatake Nakaya


・愛媛陶芸協会会員
・愛媛書芸文化協会理事
・1級陶磁器製造技能士(絵付け・ろくろ成形)
〔主な担当業務〕 ろくろ成形、施釉、商品設計

松山市出身
松山大学法学部卒業後「手に職をつけたい」という思いで梅乃瀬窯の陶芸教室にてろくろ成形を学ぶ。同時期に砥部焼陶芸塾にも通い、ろくろ、絵付けなど一通り教わったのち、梅乃瀬窯に入社。
本格的に陶芸の修行に入ろうとした矢先、師匠が亡くなる。
ろくろを中心に師匠が行っていた仕事を任されるが、突然の事だったので思い通りに作業が進まず悪戦苦闘の日々が続く。
己を奮い立たせ、寝る間を惜しみ修練した結果、今では完全に師匠の仕事を引き継ぐまでに。

【賞歴】
日本伝統工芸展
◆入選2回

佐賀 輝道

Terumichi Saga


・愛媛書芸文化協会理事
・陶芸教室講師
〔主な担当業務〕 タタラ成形、焼成、webマーケティング

砥部町出身。
愛知県立窯業高等技術専門校卒業後、京焼・清水焼の窯元に1年間勤め、父が開いた梅乃瀬窯へ。
初めの頃はろくろ成形の技術習得に奮闘していたが、ライフスタイルの変化や後継者不足などを理由に、陶磁器業界全体が縮小していく中、自社の売上減少にも危機感を覚え、「梅乃瀬窯のブランディングと手仕事を後世に残す」という意志のもと、YouTubeで砥部焼の制作風景を発信する。
現在は、製造の他に若者ならではの視点で、経営、動画制作、ECサイトの運営など幅広く活動中。

 

梅乃瀬窯YouTubeチャンネル

ティーポットの制作

砥部焼のティーポットを成形から完成までご覧いただけます。取っ手は「ひっこき」と呼ばれる技法を採用。細い棒状の土を引っ張って作る高度な技術で、習得が難しく量産に不向きなため、日本でこの技法を用いる窯元はわずかです。